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腸活とは?初心者向けに薬剤師が基本から実践方法まで解説

2026 8/18
腸活図鑑
2026年8月18日
目次

腸活とは?

コロナ渦での健康意識の高まりをきっかけに「腸活」という言葉が以前より浸透してきているのではないでしょうか。

実際に腸活とはどのような意味なのか調べてみました。

腸活とは…一般的には腸内環境を良好に保ち、心身の健康を維持・向上させるための生活習慣の工夫や実践を指す言葉
(公益財団法人 腸内細菌学会HPの“よくある質問”から引用)

なるほど。
腸内環境を良くして、心と体の健康を実現するための取り組みといったところでしょうか?

では“腸内環境が良好”とはどのような状態なのでしょうか?

これまでは「gut health=腸の健康」という言葉に明確な定義はなかったようです。
ただここにきて進展があった様子。[1]

2026年のISAPP論文では、消化器・栄養・微生物・免疫などの専門家13人が集まり、既存研究を踏まえて議論し、最終的に13人全員の投票で「gut health=腸の健康」が以下のように定義されたようです。

gut health=腸の健康とは

消化器が正常に働き、病気や生活の質を下げる症状がない状態

これからは下痢も便秘もないから健康!!と一概には言えなくなったようです。

そもそも腸では何が起きている?

腸ではこんなことが起きています。

①消化・吸収

小腸では糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラルなど多くの栄養素が吸収されます。
口腔内から胃の過程で食べたものは消化されますが、腸にも消化機能はあります。
私たちが食べたものはこうした消化→吸収の過程を経て必要な栄養素を取り込んでいます。

②腸内細菌の代謝

①で消化・吸収しきれなかった成分の一部は大腸に届き、腸内細菌によって利用され、短鎖脂肪酸などのさまざまな代謝物が作られます。

“何を食べるか?”だけでなく“その食べ物を腸内細菌がどう利用するか?”までイメージして食事を組み立てることができれば、あなたの腸活レベルはぐーんと上がります。

腸内細菌が作った代謝物は③腸管バリアや④免疫にも影響を及ぼします。

③腸管バリア(防御)

腸は体の内側と外側を分けるバリア的な役割を担っています。腸管内と体内の境界には粘膜層、腸上皮細胞、タイトジャンクション、免疫系などからなる複層的な防御機能が備わっており、必要な栄養素を取り込みながら、細菌や有害な物質が体内に侵入してこないように「門番」のような働きもしています。

④免疫

腸管内で食べ物、共生する微生物、病原体など大量の外来物質と接するため、腸管の免疫系は「排除すべきもの」と「共存できるもの」を見極める必要があります。腸内細菌はこの免疫系と相互に連絡を取り作用しあっています。

腸内環境を左右するもの

腸内環境は「何を食べるか」だけで決まるわけではありません。
食事以外にも運動、睡眠、ストレス、薬、年齢や生活環境など様々な要因の影響を受けています。[2][3]

このように腸内環境は様々な要因によって変化します。

その中でも毎日の生活の中で取り組みやすく、腸内細菌に直接影響を与える重要な要素の一つが「食事」です。
では腸活中はどのような食事を心がければいいのでしょうか?

腸活で意識したい食事

①食物繊維をしっかり摂る

食物繊維は小腸で消化・吸収されにくく、大腸まで届く成分です。

食物繊維は大きく「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」に分けられます。
水溶性食物繊維は腸内細菌に利用されるものが多く、短鎖脂肪酸の産生にもつながります。
一方で不溶性食物繊維は水分を含んで便のかさを増やし、排便をサポートするものが多くあります。
このように同じ食物繊維でも腸内での役割はそれぞれ違っていて面白い。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によれば食物繊維の目標摂取量は

1日当たりの食物繊維の目標摂取量(30-64歳)

男性;22g以上

女性;18g以上

と設定されています。

実際にこの目標摂取量を知って食事を組み立てると、この数値を達成するのがどれだけ大変なことか実感できると思います。(→個人の感想)

まずは毎食少しずつでも食物繊維を摂ることを意識しましょう。食事だけで補いきれない場合は、食物繊維を含む健康食品を活用する方法もあります。

②いろんな植物性食品を食べる

食物繊維をしっかり摂ること(=量)も大事ですが、どんな食品から摂るか(=多様性)にもこだわっていただきたい。

ここで1つ最近読んだ論文を紹介!
大規模な市民参加型研究(American Gut Project)では、1週間に30種類以上の植物性食品を食べた人は、10種類以下だった人と比べて腸内細菌叢の構成や多様性に違いが見られたという報告がありました[4]。もちろん週30種類以上の植物性食品を食べれば腸内環境が改善するというような安易な話ではありません。大切なのは30という数字ではなく、特定の食品に偏らず、さまざまな植物性食品(野菜、果物、豆類、きのこ、海藻類、全粒穀物など)を普段の食事に取り入れるということです。

③発酵食品を取り入れる

食物繊維に続いて発酵食品も積極的に取り入れたいところです。

ここでも1つ論文を紹介!
対象が36人程度と比較的小規模な研究ですが、17週間の前向き介入研究で高食物繊維食群と高発酵食品食群を比較した研究によれば、発酵食品を多く摂る食事により腸内細菌叢の多様性が増加し、炎症関連マーカーが低下したと報告されています[5]。

発酵食品というと「生きた菌を腸まで届けること」が注目されがちですが、必ずしもそれだけが重要というわけではありません。発酵食品に含まれる微生物が腸内に定着するとは限らず、食品中の菌体成分や発酵によって作られた代謝物なども健康への作用に関わると考えられています。

腸内環境管理士の資格の勉強をしていた際も「生きた菌を腸に届けること」にこだわり過ぎずに「死んだ菌も含めてより多くの菌を腸に届けること」が重要視されていました。

④高脂肪・超加工食品に偏らない

個人的にここが一番ハードルが高いと感じています。
現代社会は豊かになりすぎてスーパーやコンビニで高脂肪・超加工食品を完全に避けるほうが難しい。

脂肪に関しては量だけでなく質(→脂肪酸の種類)も重要です。
2019年の研究では、飽和脂肪酸・一価不飽和脂肪酸の摂取量と腸内細菌の多様性や総数との関連が報告されていますが、n-3系、n-6系などの多価不飽和脂肪酸では腸内細菌の多様性・豊富さに影響はありませんでした。[6]
(ただし研究数はまだ限られているので、脂質の種類による影響は今後さらなる研究が必要です)

超加工食品は一般的にエネルギー密度が高く、食物繊維量が少ない傾向にあります。
超加工食品の摂取と腸内細菌叢の変化・腸管バリア機能への影響に関する報告も出てきています。[7]
(ただし現時点では観察研究や動物・細胞レベルでの研究が中心であるため、超加工食品が腸内環境にどのような影響を及ぼすかは今後のさらなる検証が必要ですが…)

結論として「完全に避ける」ではなく「偏らない」という戦略が現代でうまく生きていくための最適解だと考えます。

今日から始める腸活

①まず「1品足す」から始める

食生活を一気に変える必要はありません。

  • 白米にもち麦を混ぜる。
  • 朝食は菓子パンだけ→卵やサラダを1品追加する。
  • 外食先では食物繊維パウダーをプラス 

いきなり100点を目指すとなかなか踏み出せません。60点で良いからとにかくやってみる。
やっているうちに自分に合う・合わないがわかってくるので、合うものだけを残していく。
日々のトライ アンド エラーが自身の腸活レベルを上げてくれます。

②いつもと違う植物性食品を1つ選ぶ

スーパーでいつも同じ食材ばかり買ってませんか?

人間の脳は変化を拒むようにできています。
よほど意識しない限り、自然と同じ行動(→毎回同じものを買う)を繰り返すものです。
普段よく使う食材を変える必要はありません。
でもたまにはいつも買わないような野菜を買ってみるのもありだと思います。

③発酵食品を食卓に取り入れる

納豆、キムチ、ヨーグルト、調味料も味噌や醤油、みりん、酒、酢などスーパーに行けば簡単に発酵食品が手に入ります。「日本って発酵食品大国!?」って思えるほど、腸活するには本当に恵まれた国だと思います。
この利を生かして腸活を実践していきましょう!

④超加工食品は“禁止”しない

超加工食品は腸には良くないと言いながら、“禁止”しないとは一見矛盾しているように思われるかもしれません。しかし長く続けていくにはストイックにやりすぎないことも重要です。

今やこの世の中は超加工食品であふれかえっています。そんな中、超加工食品を完璧に避けることに疲弊して、腸活自体を断念してしまっては元も子もありません。

超加工食品に偏り過ぎない意識を持ってるくらいでちょうどいい。

⑤完璧な腸活より「続く腸活」

先ほどの④の部分でもお話しましたが、完璧を目指すより続けることを意識したほうが腸活はうまくいきやすい。だからたまには飲んで食ってハメ外してもいいんです。
大切なのはハメ外した次の日はまたいつものように淡々と腸を気遣った生活に戻ること。

「腸活は続けてなんぼの世界」

気長にいきましょう。

腸活でよくある誤解

食物繊維は多く摂るほどよい!?

日本人のほとんどが食物繊維が足りてないというデータもあるくらいなので、基本的には食物繊維をしっかり摂る意識を持つくらいがちょうどいいと思います。

ここでひとつ、勤務先の薬局で実際にあった話を紹介します。
なかなか便秘が解消されず、おすすめの便秘薬が欲しいという女性からの相談でした。
話を聞いていると便秘解消のために毎日しっかりと食物繊維を摂っているとのことでした。
普段からジムに通って運動習慣があり、筋肉量もある程度あるタイプ。ストイックなイメージの方でした。
悩んだ挙句、便秘薬は提案せず、とりあえず2週間くらい食物繊維を減らしてみるようにアドバイスしました。
すると1か月後くらい…?、その時の患者さんが少しずつではあるが出るようになったと報告しに来てくれました。
不溶性食物繊維の摂り過ぎはかえって便秘を誘発することがあります。この方はまさにこのタイプ!?
なんでもやり過ぎはいけません。

ヨーグルトを食べれば腸内環境が整う!?

これも薬局で患者さんからよく聞く話。
「朝はとりあえずヨーグルト」って人が本当に多い。しかもおなかに不調を抱えている人ほどこの認識の人が多い気がします。

ヨーグルトなどの発酵食品は腸活に取り入れやすい食品ですが、これさえ食べれば腸内環境が整うというものではありません。腸内細菌の組成によって食品への反応は個人差があります。

摂取した菌が腸に定着する!?

「ヨーグルトや整腸剤を飲めば、善玉菌が腸に住み着いてくれる」

僕も以前はそんなイメージを持っていました。しかし実際はそんなに単純ではありません。
口から摂った菌が腸まで生きて届いたとしても、そのままずっと腸に住み着くとは限りません。

実際にプロバイオティスクの摂取に関して調べた研究では、菌の腸粘膜への定着の度合いは個人差が大きく、定着しやすい人と定着しにくい人がいることが報告されています。[8]

つまり
「菌を摂る→腸に住み着く→善玉菌が増える」
という単純な話ではないのです。

もともと住んでいる腸内細菌やその人自身の腸内環境によっても、摂取した菌がどのように定着するかは変わってきます。「腸によい菌を摂れば、その菌が住みついて腸内環境が整う」と単純に考えないことが大切です。

腸活は食事だけ気をつければいい!?

「腸活」と聞くと、まず食事を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?

食物繊維を摂る、発酵食品を取り入れる、いろんな植物性食品を取り入れる…もちろん食事は腸内環境を整える上で大切です。

しかし腸内環境に影響を与えるのは食事だけではありません。これまで見てきたように運動・睡眠・ストレス・薬剤などさまざまな要因が腸内環境と関わっています。

「腸活のために何を食べよう?」と考えるだけではなく、

「よく食べて・よく動いて・よく眠る」

そんな毎日の生活習慣全体を整えていくことも立派な腸活です。

まとめ

ここまで「腸活とは何か?」について、腸活の基本から、腸内環境に影響するもの、意識したい食事、今日からできる腸活、よくある誤解まで見てきました。

腸活というと
「善玉菌を増やさないと…」
「毎日ヨーグルトを食べないと…」
「食物繊維をたくさんとらないと…」
そんなイメージを持っている方も多いかもしれません。でも腸活はそんな単純なものではありません。

食事はもちろん、運動や睡眠、ストレスなど様々な要因が関わり、腸内環境は日々変化しています。
だからこそ「これさえやればOK 」という腸活の正解を探す必要はありません。

まずはいつもの食事に1品足してみる。
いつもと違う食材を選んでみる。
しっかり動いて、しっかり眠る。

できることから少しずつで大丈夫です。

「腸活は特別なことをするのではなく、自分の腸を気遣う生活を続けること」

この記事が、その最初の一歩になれば嬉しいです。

そして「もっと詳しく知りたい」と思ったら、ぜひこの「腸活図鑑」から気になるテーマをのぞいてみてください。

一緒に少しずつ、腸活について学んでいきましょう。

【引用文献】
①Marco ML, et al. The International Scientific Association for Probiotics and Prebiotics (ISAPP) consensus statement on the definition and scope of gut health. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2026.PMID: 41709019.

②Pérez-Llano B, et al. The diversity of factors influencing human digestive microbiota in healthy adults and their interaction: a scoping review. BMC Nutr. 2026.PMID: 42177583.

③Gacesa R, et al. Environmental factors shaping the gut microbiome in a Dutch population. Nature. 2022;604:732–739.PMID: 35418674.

④McDonald D, et al. American Gut: an Open Platform for Citizen Science Microbiome Research. mSystems. 2018.PMID: 29795809.

⑤Wastyk HC, et al. Gut-microbiota-targeted diets modulate human immune status. Cell. 2021;184:4137–4153.e14.PMID: 34256014.

⑥Wolters M, et al. Dietary fat, the gut microbiota, and metabolic health – A systematic review conducted within the MyNewGut project. Clin Nutr. 2019. PMID: 30655101.

⑦Whelan K, et al. Ultra-processed foods and food additives in gut health and disease. Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2024. PMID: 38388570.

⑧Zmora N, et al. Personalized Gut Mucosal Colonization Resistance to Empiric Probiotics Is Associated with Unique Host and Microbiome Features. Cell. 2018;174:1388–1405.e21.PMID: 30193112.

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みつけん
薬剤師&食生活アドバイザー
1983年生まれ。兵庫県出身。2児の父。
薬局勤務の薬剤師&食生活アドバイザー。
焼き芋🍠が大好物。

思考停止でジャンクフードに溺れた過去。
冬場は必ず風邪をこじらせ、
年中通して体のだるさを感じていた僕が
腸活と出会い、毎日の絶好調を取り戻す。

【腸活は最強のセルフメディケーション】

“腸活ごはんを通じて
自分と関わった人の絶好調を実現する。”

現在は『腸活ごはんでカラダメンテ』をモットーに
腸活指導・アドバイスを行っています。
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